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香りや匂い、臭などニオイに関して漢字だけで見ても、ポジティブな気持ちからネガティブな気持ちと変化しますよね。
洗剤業界にいてこの香りに関しては、非常に密接でよく携わるジャンルのカテゴリーであります。
衣類についたニオイから、消臭剤や香水、はたまた体臭から口臭などさまざまなニオイを、私たちは常に感じています。
今回は洗剤にも関係ある「ニオイ」について話していきます。
【嫌なにおいの原因はなに?】
以前、臭くならない部屋干しの方法をブログでお伝えした時に、嫌なにおいの原因は雑菌のモラクセラ菌が繁殖しているからだとお伝えしました。
参考記事:部屋干しの嫌なニオイの原因
日常生活でも、嫌なにおいが発生する要因の1つとして「細菌やカビ」が原因です。
細菌やカビも生き物なので、営みがあり餌を食べています。摂取すればもちろん排泄します。それらが嫌なにおいの原因となるわけですね。
コロナ対策もあり現在私達は、殺菌・抗菌・除菌・減菌という行動は日常的に敏感に行動しています。
細菌には、食べ物を腐敗させ不快なにおいを作りだして、皮膚表面で皮脂分を酸化分解し、独特な体臭を発生させるという、ネガティブな側面があります。
以前、洗濯した衣類を効果的に乾かすポイントは、湿度・温度・風だとお伝えしました。
このように条件を整えると、目的が効果的に達成することは、皆さんの日常でもよく経験するのではないでしょうか。
殺菌するには、細菌が生きるポイントを知る必要がありますね。
そしてカビの場合はさらに(酸素)が生きて繁殖するための条件となるんですね。
つまりこの条件を整えてやらないことが、細菌、カビを死滅し繁殖させないことに繋がり、嫌なにおいを発生させないことになります。
細菌が生きるポイントを理解し、細菌が生きるための環境をなくせば殺菌できる。
たとえば、お菓子の袋の中にアルコール揮散剤や脱酸素剤がはいってますね。
←こんなやつです。
子供のころ、「これはなんだ?」と不思議に思ったことはありませんか?
「食べられません」書いてあるやつです。
「脱酸素剤」のほうは字のごく、袋の中をから酸素をなくし、カビの繁殖や酸化防止している。
ただ脱酸剤は嫌気性細菌類の抑え込みはできません。
嫌気性生物とは生育に酸素を必要としない細菌の事です。
そのため、アルコール揮散剤で細菌・カビの増殖を抑制するんですね。
お菓子一つとってもこうして、薬剤によって細菌・カビ類の増殖を抑制しているんですね。
酸素を必要としない細菌もいるのだ。
ちなみに、こうして薬剤で細菌・カビの繁殖を抑制して悪臭の発生を防止することを防臭と呼ぶ場合もあるんですよ。
固くなりましたが、嫌なにおいを発生させないためには、「温度・湿度・栄養」を与えない環境を整えましょう。
【防臭の条件とは?】
● 嫌なニオイの原因は細菌・カビ類の営み(糞など)から発生する。
● 細菌・カビが生きる条件を整えず、温度・湿度・酸素・条件を与えない環境にする。
嫌なニオイの原因は分かったので、日常生活を例にもう少し掘り下げてみよう。
【良いかおりを利用して悪臭対策??】
先ほどの防臭対策は、ニオイの元となる細菌・カビの繁殖を抑えての防臭対策でした。嫌な臭いを感じたとき、消臭スプレーや香水、お香などさらに強い匂いや、いい香りの物を使用して、悪臭を感覚的に軽減する行動をします。これは感覚的消臭といいます。
ニオイの物質自体を化学反応で変化させたり、防臭のようにニオイの元となる細菌・カビの繁殖を抑える方法とは異なるんですよね。
消臭スプレーなどで嫌な臭いを退治しているイメージがありますが、実は「匂いでごまかしているだけ」で違います。
消臭スプレーではニオイの元となる細菌・カビを退治しているわけではない。
消臭スプレーで除菌と表記しているから、「菌も死んでいるのでは?」と思いますよね。
洗濯についてのブログ記事で、菌と汚れを落とす方法をご紹介しましたが、汚れを水に浮かして洗い流して、菌の除去ができます。
参考記事:正しい洗濯のしかた
消臭スプレーを散布して、一時的に殺菌効果があっても、洗い流していないので、時間がたち効果がなくなってくると菌はまた繁殖します。
汚れが分解してなくなっているかのような錯覚を起こしがちですが、消臭スプレーでは洗えてないので、菌は残っているんで注意が必要なんですよ。
さて話を戻しますが、感覚的消臭は教科書的にお伝えすると、嗅覚受容体がキャッチするニオイの強弱や質の変化を起こさせる方法です。
簡単にお伝えするには、芳香剤を思い浮かべていただけると分かりやすく、悪臭より強いニオイで悪臭を感じなくなる方法ですね。
消臭スプレーは「悪臭の元をなんら解決せず、他の強い匂いでごまかしている」だけとも言える。
隠ぺい法とも言われ、香料業界ではマスキング法といいます。
たしかに強めのニオイで嫌な臭いは隠せますよね。
玄関、トイレなどに芳香剤を使用しているご家庭も多いと思いますので、この手法は、一般的に取り入れられているのではないでしょうか。
ただデメリットとして、まず臭いが強すぎるという傾向があり、悪臭よりも気分が悪くなるなんて一度は経験されたことはありませんか?(昭和の不良が乗っていた車の芳香剤とか)
また、悪臭の原因自体は解決していないので、時間が経てばまた悪臭が漂ってきます。
たとえば、玄関に子供の汚い靴があり、消臭スプレーを散布してニオイを抑えても、ニオイの原因になっている、子供の靴は洗ってないので汚いままですし、見た通り菌は付着していますね。
悪臭の元を解決しないと、嫌なニオイが発してくるのは時間の問題。
次に中和法の製品もあるのですが、これは、悪臭に対して、あるニオイ物質を作用させたときに感じるニオイが、元の悪臭の強さに比べて低下する方法になります。
もう少しニオイについて掘り下げていこう。
悪臭のニオイを利用して別のニオイを混ぜ合わせ、良いニオイを生み出す、または無臭にするといった方法で、嗅覚のしくみを利用した手法ともいえますね。
芳香剤で一番多いのは、悪臭を1つの物質として捉えて、悪臭に対し複数の香料を混ぜ合わせることで新しい香りとして、感じられるようにする変調法がよく用いられています。
これって実は香水の調香に基づく考え方なんですよ。
香水はそもそも複数の香料を混ぜ合わせて作られているのですが、構成する香料を1つずつ嗅ぐとすべてが良い匂いでかと言えば、必ずしもそうではないんです。
ニオイは組み合わせることにより変化していく。
余談ですが2021年に誕生100周年を迎えた、「シャネル No.5」という香水があります。
100年前は、香水と言えば、植物性・動物性の天然香水が使われていて、
(良い香り)+(良い香り)=(さらに良い香り)になると考えられていました。
そんな時代に脂っぽい匂いので、どちらかと言えば不快なニオイにカテゴリーされる、アルデヒドという、有機化合物と花や柑橘系の香料と混ぜ合わせ、温かみと華やかさ、そして深みある心地よい香りを生み出し、香水の革命を起こしたのが「シャネル No.5」なんですね。
少し話がずれましたが、日常生活のさまざまなニオイも、条件が重なり合うことで、良い匂いにもなり、嫌な臭いにも変化する可能性があります。
ですので香りの力で悪臭の対策を一言でいっても、闇雲に強いニオイだけではダメですし、いわゆる香害を発生させる可能性もあるんですよ。
【換気によるニオイ対策をしよう】
さて、嫌なにおいを除去するのに手っ取り早い対策として、「換気」があります。
自宅でタバコを吸う際に、世のお父さんたちの喫煙所は、キッチンの換気扇の下や、ベランダやバルコニーといった場所が定位置で、いわゆる蛍族なんて言葉もありますね。
密室だと嫌なニオイがこもるから喫煙は換気の良い場所が定位置。
換気について詳しく見ていこう。
これはタバコの臭気が原因で追いやられているわけですが、蛍族の人権の話はここでは一旦置いておいて、室内で嫌なニオイを感じた際に、窓を開け換気することもよくあると思うので、換気についてお話しします。
窓を開けて換気をしたつもりが、不思議とまだ嫌なにおいが残っているときはありませんか?
これは正しい換気がおこなわれていないから、換気したつもりで換気出来ていないのが原因なんですね。
換気には「空気の通り道」が必要です。
対角線上にある離れた箇所の窓を、2か所同時に開けることで空気の通り道ができ、ニオイが排気され換気がでできます。
私の自宅ではバルコニー側の窓を開けて、対角線上に窓がないので、対角線上にある玄関の扉を少し開けて風の通り道を確保しています。
「ビュー」と風が明らかに抜ける音もしますし、すぐ換気できますので、今まで意識していなかった方は換気する際、対角線上を意識して窓などを開けて換気してみてください。
換気はただ窓を開けるだけではダメ。
空気の入口と出口を確保し、空気の通り道を作ってはじめて換気ができる。
また注意が必要なのは風向きとニオイの発生源を確認する必要があります。
嫌なにおいの発生源が風上にあると部屋中にニオイが広がるからです。
たとえば、お父さんがバルコニーで一服しているのに、バルコニー側の窓を開け、対角線上の部屋の窓を開けていないと、タバコの臭気が部屋中に入ってくるだけでで、腹いせにバルコニー側のカギを閉めたくなるだけですもんね。
換気は空気の入口と出口を確保して空気の通り道を作ることが大切なので、給気口がカーテンなどで塞がってたりしないか、フィルターに埃がたまって十分な空気を確保できる状態になっておらず、排気されない場合もあります。
換気設備は定期的に点検することも、ニオイ対策には必要なことなんですね。
ただ窓を開けるだけではだめなんですね。
換気の話で煙草を例に話したので、喫煙者の方は口臭が気になる人もいるのではないかと思う。
せっかくなので口臭についても話していこう。
【口臭の原因はなに?予防とケアを】
口臭は、日常生活で人とのコミュニケーションをとる際に、問題となる「臭」であると言えます。
口臭の原因は3つに分けられます。
一般的な口臭の原因ですが、主に「生理的口臭」「外因的口臭」が原因です。
「生理的口臭」は、口の中の食べかすや粘膜がはがれた細胞中のタンパク質などを口腔内の細菌が分解することで発生します。
玉ねぎの腐ったようなニオイのメチルメルカプタン、卵の腐ったようなニオイの硫化水素が代表的な口臭で(この二つは特にマズイ口臭ですね。。)、空腹時などに唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥することでニオイが強くなることもあります。
「生理的口臭」は口臭の特徴的に女子には特に嫌われるな。
そして、「外因的口臭」は口に入れたものや食べた物が原因となる、口臭のことをいいます。
にんにくやキムチなどのニオイの強い食材や、アルコール、タバコなどを摂取した後は、口臭が気になった方は多いのではないでしょうか。
また飲酒によるアルコールは、肝臓によってアセドアルデヒドというニオイの物質生成につながり、刺激的な飲酒後独特のニオイの原因になります。いわゆる酒臭いというやつですね。
また、煙草の煙にはガス状と粒子状の物質が含まれていて、これらもニオイの原因になります。
煙草の煙は衣類にも付着しますので、電車で煙草を吸っている人が隣に座ったりすると、煙草のニオイが衣類に付いていて、吸わない方からすると苦痛に感じますよね。。
キムチやギョーザをつまみに酒をあおり、煙草をくゆらせている諸君は口臭に注意が必要。
「病的口臭」の場合は歯周病や虫歯由来のもの、消化器系や、呼吸器系などの疾患が原因になります。
病的口臭もかなり他人からは嫌われてしましますし、意外と自分自身では気が付いていない方が多い口臭とも言えます。
【口臭の予防】
口臭を予防するには、口腔内を清潔にする必要があります。
歯磨きや舌のお掃除をすることはもちろん、殺菌効果のあるマウスウォッシュなどで、ニオイの原因となる汚れや細菌を減らすことは有効ですね。
またガムや飴などを口の中に入れて、唾液を分泌し口内を浄化するのは簡単で良い方法とも言えます。
「病的口臭」の場合は虫歯、消化器系や呼吸器系の疾患が原因ですので、病院に行って治療をしてもらいましょう。
虫歯などの「病的口臭」の場合は日常的に口臭を発しているのですぐに病院へ行こう。
ここでも嫌なにおいの原因が菌によるものである場合が多いとも言えます。
【体臭はなぜ起こる?食生活と口臭・体臭の改善】
ニオイの中でもご自身が気にするもう一つのニオイが「体臭」ではないでしょうか。
電車の中でおやじ臭いニオイが嫌だと、女子高生が話していたりするのも耳にしますし、夏場にOLの方が、営業周りで汗をかいたので気にして、汗拭きシートを利用していたりと、体臭はエチケットの部分でも、気になるニオイのカテゴリーであると言えますね。
さて、この体臭にも大きく分けて、2つのパターンがあります。
大量に発生した汗を放置しての体臭は、先ほどお伝えした菌が繁殖してニオイの原因と関連している「臭」であるともいえますが、放置していると体臭自体も強くなる傾向があります。
体臭にも部位によってニオイが違うので詳しく見ていこう。
【体臭の発生する部位 は?】
体臭 | 主なニオイのもと | 主なニオイ物質 |
頭皮臭 | 皮脂 | 脂肪酸類、アルデヒド類 |
腋臭 | アポクリン腺 | 3-メチル-2-ヘキセン酸 |
汗臭 | 全身のエクリン腺からの汗 | アンモニア、脂肪酸類 |
足臭 | エクリン腺から汗 | イソ吉草酸 |
表のとおり、それぞれの体の部位によってニオイの原因、物質は異なる。
体臭と一言でいっても、体臭が発生する部位によってニオイが異なることは、みなさん、意識的、無意識的にご存じだと思います。
頭皮のニオイと、足からにおうニオイは異なります。
これは頭皮の場合は皮脂腺が発達している為、酸化した油のようなニオイしますし、足の裏には皮脂腺はないのですが、靴やブーツを履いていて、汗が分泌されて長時間、それらの履物を履いていると蒸れて細菌が繁殖しやすい状態となります。
この状態で臭ってくる嫌な臭いは納豆の腐敗したニオイに近いです。
女性の方はこのニオイを自分が発する可能性がある、ブーツを長時間はいている日などは、他人の前で靴を脱がなくてはいけない場面などは、上手く避ける行動をとりエチケットを大切にする方が多いのではないでしょうか。
このように部位によってニオイは異なり、皮膚にある汗腺や皮脂を分泌する皮脂腺と菌の働きが関係してきます。
ここでも菌が体臭に関係してくる。
また夏場に男女を問わず気になる「わき汗のニオイ」ですが、これは汗腺の1つである、アポクリン腺から分泌される汗から発せられます。
アポクリン腺から出る汗は、水分が少なく、粘りつきがあり、脂質やタンパク質の原因となる成分を多く含んでいるのが特徴で、いわゆる「ワキガ」はアポクリン腺から分泌された汗が、常在菌により分解され、独特なニオイを発生させるからです。
「わき汗のニオイ」の原因はわかりましたね。
次は汗のニオイを防ぐにはどうしたらよいか見てみよう。
【汗のにおいを防ぐには】
汗のにおいを防ぐには次の3つが重要になります。
ここでも「菌」をどう退治するかが、ニオイに影響するポイントとなる。
汗を抑制する、制汗作用、殺菌作用を持つ商品、いわゆるデオドラント製品は、夏はドラッグストア、コンビニで非常に目立つ場所に陳列されていますね。
これらの製品を効率よく使用するには、実は汗をかく前、シャワーを浴びた後など体が清潔な時で汗をかく前に使用すると効果的です。
他にも皮脂の酸化を防ぐ「抗酸化作用の製品」や発生したニオイを除去する「消臭作用」、発生したニオイを覆う、マスキング作用をもつ成分を配合したデオドラント製品、を場面にあわせて使いこなすことが効果的な使用方法と言えます。
作用 | 効果 | 効果的な使用方法 |
制汗 | 汗の抑制 | シャワーや入浴後で汗をかく前に |
殺菌 | 菌の繁殖防止 | シャワーや入浴後などで、身体が清潔な状態に保たれている時 |
抗酸化 | 皮脂の酸化防止 | 皮脂の酸化が原因の体臭に効果的(加齢臭対策) |
消臭 | ニオイを除去 | 発生したニオイに作用する |
マスキング | ニオイを覆う | 発生したニオイに作用する |
デオドラント製品は、シャワー後などの体が清潔な状態の時に使用するのが効果的。
【まとめ】
香料の香りから、消臭剤や香水の原理、また悪臭の発生原因から体臭・口臭に至るまでと、私たちは良いニオイや悪臭などあらゆるニオイに囲まれて生活しています。
美味しい食べ物のニオイや、柔軟剤や香水などでニオイを楽しむことも、嗅覚から楽しさを与え、日常に変化を与えてくれます。
ですが、ニオイの被害者になる時もあれば、加害者になる時もあるのでニオイの知識を持つことで、うまく悪臭から回避できたり、防臭ができます。
悪臭に関しては、ニオイの元を改善するのが一番の解決策であることは変わりません。
生ゴミのニオイを発する前に、こまめにゴミは捨てたり、汗をかいた服はその日のうちに洗濯、靴やスニーカーも臭う前に洗うなど清潔にして、ニオイの元となる菌を繁殖させないことが、嫌なニオイを防止する効果があると言えます。
嫌なニオイを他の強いニオイでごまかしても、ニオイの原因は改善していないので、まずはニオイの元を解消するのが、悪臭の解決策でしょう。
清潔な状態の衣類に柔軟剤や香水を使い、ニオイを楽しむのが、ニオイをうまく付き合う方法であると思います。
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